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第39話 「最悪な再開」

Auteur: 詩乃宮
last update Date de publication: 2026-08-05 11:00:32

 ———オフラインイベント会場・壁際。

 結局、双鹿と銃姫に話題は持っていかれた。ちょっと皇と再会して気分が盛り上がったらこれである。

 瑠奈は苦々しい顔で爪を噛む。

 だが。

(そう、次のイベントは私のワールド。……欲しいでしょう?サイバー強盗の解除権)

 これは事前にオルドデウス社から通達されていたこと。未だにワールドとして規模の小さいオアシスに気を使ってくれただろうことはなんとなくわかった。

 そして、全てが噛みあった。皇が居る、そして、皇はサイバー強盗のウイルスに感染している。喉から手が出るほど解除権が欲しい状況だろう。そんなところで、オアシスでのイベント、これはもうオアシスに来るしかない状況だろう。

(皇は絶対に来るわ)

 瑠奈は余裕のある笑みを浮かべる。絶対に来るという確信があるからこその笑み。

 皇が来たら大量のオアシスの女の子たちで囲い込んで、骨抜き

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  • All World My hands   第39話 「最悪な再開」

     ———オフラインイベント会場・壁際。 結局、双鹿と銃姫に話題は持っていかれた。ちょっと皇と再会して気分が盛り上がったらこれである。 瑠奈は苦々しい顔で爪を噛む。 だが。(そう、次のイベントは私のワールド。……欲しいでしょう?サイバー強盗の解除権) これは事前にオルドデウス社から通達されていたこと。未だにワールドとして規模の小さいオアシスに気を使ってくれただろうことはなんとなくわかった。 そして、全てが噛みあった。皇が居る、そして、皇はサイバー強盗のウイルスに感染している。喉から手が出るほど解除権が欲しい状況だろう。そんなところで、オアシスでのイベント、これはもうオアシスに来るしかない状況だろう。(皇は絶対に来るわ) 瑠奈は余裕のある笑みを浮かべる。絶対に来るという確信があるからこその笑み。 皇が来たら大量のオアシスの女の子たちで囲い込んで、骨抜きにした後、骨の髄まで瑠奈に依存させればいい、そうすれば、皇にとって自分はいなくてはいけない存在になる。(そしたらあのちんぽも、ディルドのように使ってやるわ……) 瑠奈はそうほくそ笑むのだった。--------------------------------------------------------------- ———AWM・砂上の楽園・オアシス。「メンツが豪華すぎて軽くヒくわ……」「言っとくが、お前もこのパーティーだからな?」 そんな薊との会話。この間のオフラインイベントで銃姫と双鹿が知り合いなことが分かってから、オンラインでの初顔合わせとなる。 マザーグースの統治者、カラリエーヴァの店主双鹿とデストロイアの統治者銃姫、あと皇とアザカ。「そんなかしこまらなくていいのよ。ヴィクトくんの友達なら仲良くしたいもの」

  • All World My hands   第38話 「決心の砕かれる音」

    「その言い方はちーっと、悪意があるんじゃねェか?」 そう言いながら皇を庇うように立ったのは薊だった。多分、この騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれたのだろう。「あら、お友達?随分とまあ、荒っぽい」 瑠奈がくすくすと笑う。こういう時の瑠奈は、というか。瑠奈はレスバに強い。それはもう腹が立つぐらいに。 瑠奈は薊を心底嘲笑った後に、視線を皇に戻す。「でも、安心したわあ」 瑠奈と視線が合わせられない。場の主導権が瑠奈に取られて取り返せない。息が詰まって、苦しい。「このイベントに参加できるなんて思ったより稼いでいるようね。私のお下がりのデメテールで!」 その声がホールに響いた瞬間だった。「うわ、女にたかるとか……」「情けなー」「ていうか、あいつ無能なんだろ?ゲームできんの?」 嘲笑。それらが皇に降り注ぐ。皇の心はぐちゃぐちゃになり、足元がフラついた。此処に皇の味方は薊しかいない。でも、薊にはそれらを払拭することができなくて。 薊は奥歯を噛みながら、瑠奈になにかを言おうとした瞬間だった。 カツカツ、というヒール音。そして、それに釣られるように周囲の人間の視線が、興味がそちらに惹かれるのが分かった。「あれって……え!?」「カラリエーヴァの店主!?」「ちょっと待って、あれ、銃姫じゃあ……」「姫―っ!」 そんな全員の気が皇からなにかに逸れる。そして、そのヒールの音の主は言うのだ。「あら、弱小オアシスの統治者がなにか囀っているわ」「双鹿せんせ、言いすぎ~!でも、自分の世界も確立できない貧弱な脳みその統治者がいるって?」 そんな聞き馴染みのある声が2つ。それは、愛鹿と姫沙羅の声だった。 皇が顔を上げると、2人は愛想を振りまきながらこちらに歩いてきて。「で、彼に何の用かしら?自分でまともに世界も構築できない、貧弱脳みそのオアシスの

  • All World My hands   第37話 「邂逅・元カノ」

     ———てぃろん。「ん?」 リムレットが鳴った。「通話かァー?」 そう聞く薊に首を横に振る。通話ではなく、メールアプリのようで。皇はメールアプリを立ち上げて内容を確認する。 どうやら、正しくはデメテールの方で受信したメールが転送されているようで。「えーっと……イベント、太陽の上る地平線中断に関するお詫び……ああ」 皇は1人そのメールの件名に納得した。この間のイベントは姫沙羅の件で中断された。だが、デストロイア内にそれに対して怒っている人間はいないというのに、企業というものは大変なものだ。「お、なにが届いたんだ?てめぇ、俺にも見せろよ」「わーった、わーった」 皇の横に0距離で密着してくる薊にも見えるように、リムレットのモードを切り変える。そして、本文を開けば———。「えー、なになに。……くっそ、なげェな謝罪」 本文を開けば、そこには企業らしい謝罪文が長々と掲載されていて。皇も薊も大して読むことなくスクロールして、端的にお詫びでなにが貰えるのかだけを確認する。「つきましては、中断時点で生存していたプレイヤーの皆様にAll World My hands.オフラインイベントのペアチケットをお送りいたします……へえ」 まあまあ、オフラインイベントのチケット2枚なんて精々2万。あの時点で生き残ってたのは皇ともう1人だけだから、合計4万。オルドデウス社の大きさを考えれば大分安い謝罪だろう。 そんなことを皇が思っていると。 ……薊が土下座をしていた。「……アザミサン?」 その奇行の意味が分からずに言葉がカタコトになる。「えー、平素よりお世話になっています皇大先生にお願いがございます……」「え、なに」

  • All World My hands   第36話 「最高のメニュー」

     あの青姦の後。つつがなく神器の欠片は受け渡された。 ヤった後というのは心地よい倦怠感と眠気を感じるものだが、AWMからログアウトすればそれもなくなって。 それが、銃姫とのセックスまでなかったことのようになる感覚がして少しヴィクトは寂しさを覚えた。 そうして、日は巡る。--------------------------------------------------------------- その日もその日とて。いつも通り、愛鹿のアトリエでのアルバイトだった。アルバイトの前、自転車を走らせていつも通り嬉嬉軒へ走る。 店の前に自転車を止めて、暖簾をくぐり、店の引き戸を開けた。「いらっしゃいませ!」 そんないつものおばちゃんじゃない声に顔をあげれば———。「姫沙羅……!」 そこには姫沙羅が居た。赤いエプロンと三角巾を付けて、弾けるような笑顔を皇に向ける姫沙羅。「あ、皇だ。やふー」 そう言えば、姫沙羅がいつも皇が座っているカウンターに案内してくれる。「え、おま、え、どうしたんだ?」 幸いにも少し早めの時間帯なので、店は忙しそうでもなく、姫沙羅と少しの雑談をする時間ならありそうであることを判断する。「んー……警察の諸々がやっと落ち着いたから親孝行?お母さんとお父さんにもちゃんと事件の経緯は話したけど、開いちゃった時間は埋められないから」 そう寂し気に笑う姫沙羅。だが、姫沙羅は「でも」と切り返した。「これからは一緒に居られる。開いちゃった時間を取り戻せるように、お母さんとお父さんとも一緒に居ようと思って。手始めに、嬉嬉軒の手伝いを初めて見たの」 その姫沙羅の顔はとても穏やかで。いや、姫沙羅の心中なんて分かりっこないが、それでも、あの男の脅威の影は確実に薄まっているんだろうな、というのが見て取れた。「あと、皇ともゲームの外でも話したい、し、遊びに行くとかしてみたい。友達として!」

  • All World My hands   第35話 「初めての屋外」

     銃姫の唇とヴィクトの唇が重なる。お互いの体温が溶け合って、交わる。 何度かキスを重ねて、交わりを深くしていけば、舌先が触れあう。舌先が触れあう感覚に、頭の裏にぞわりとしたものを感じながらお互いの舌を絡め合う。 満天の星空の元で行う卑猥な行為を行おうとしている。その事実は背徳的で、ヴィクトの気分を盛り立てた。 銃姫の唇を堪能したヴィクトは一旦唇を離す、2人の間に引く唾液の銀の糸。それがふつり、と切れればヴィクトは立ち上がった。「壁際だと危ないから」 そう言いながら銃姫の手を引いて、壁の上の中央に座る。そして、ヴィクトが腰かけ、その膝の上に銃姫を座らせる。「へへ、外でするの初めて……」「そりゃ、そんな経験ない方がいいけどな」 そんな照れからくる軽口。でも、デストロイアの中で銃姫は目立つ。それこそホテルなんか男とは言った日には秒でデストロイア中に噂が行きわたり、ホテルから出てくるヴィクトをハチの巣にしようとする連中に待ち伏せされるだろう。 だから、此処が一番いいのだ。 銃姫の装備をはだけさせて、首筋に唇を寄せる。「あっ……」 唇を寄せて、舐めて、歯を立てて。そのまま首筋から耳へ耳朶を食む。売女を抱いているのではない、銃姫を抱いているのだ、というヴィクトの自覚が手つきをより丁寧にさせた。 顔を真っ赤にしてふるふると震える銃姫。その銃姫のヴィクトの首にかかる手が強くなる。どうやら、銃姫は耳がお気に召したようだ。「あ……ぁっ、ぁ……」 ヴィクトは装備の隙間から手を差し込み、銃姫の胸を丁寧に揉む。下乳から触り上げ、包み込むように揉む。 銃姫の胸は……正直、瑠奈や双鹿のような豊満さはなかった。だけど、その形は美しく整っているのが分かって、これはこれで、ヴィクトの劣情を煽る胸だった。 ヴィクトは、銃姫の装備をはだけさせれば、耳への刺激をやめて、銃姫の乳首を口で転がし始める。「あっ、あ、ぁっ……」 銃姫が口を手で押さえる。どうやら、耳も感じるけど乳首も感じる……もしかして、とヴィ

  • All World My hands   第34話 「開いた隙間」

     あの波乱のイベントから1週間ぐらい。やはりというか、銃姫はゲームにログインしていなかった。 イベント中のあの言い合いはどうやら中継されていたらしく、世論は『銃姫が可哀想』『キチガイに付きまとわれてたのか……』『そりゃ、警察行きだわ』みたいな反応に塗れていた。 ヴィクトは心配ではあるが、せかしても何も変わらないし、銃姫の迷惑になることは分かっていたので、銃姫のログインアラ―トを設定して、銃姫がログインしたらとんでいけるようにデストロイアの中に居た。--------------------------------------------------------------- その日も夕暮れのBarで飲んでいた。「しかし、よかったわあ。姫ちゃんを助けてくれる人が居て」「いやいや、本当にたまたまですよ……」 静かに琥珀色の酒を揺らす。マスターと2人きりということもあり、ヴィクトは煙草を吸って、その煙を揺蕩わせながら会話をしていた。「姫ちゃん、ログインしてくれるかなあ……」 マスターの声には心からの心配が滲んでいた。グラスを拭きながら、その目が沈む。 でも、ヴィクトはそこは疑っていなかった。「大丈夫ですよ、銃姫はこの世界を、デストロイアを愛しています。それに件の男は捕まったので、警察とのあれそれが終わったらひょっこり戻ってきますよ」 だから後は待つだけ。そう煙草を灰皿に押し付けた瞬間だった。視界の端のシステムウィンドウ。そこには……「銃姫がログインしました」と書かれていて。 ヴィクトは反射的に立ち上がった。立ち上がって、零した。「じゅ、銃姫が……ログインした……」「え」「俺行かなきゃ!マスターお会計!」「え、ええ!」 そこからどたばたと会計をしたヴィクトは店の外に出て、ゲーム内コールを飛ばす。1コール目、2コール目、3コ

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